脳:植物状態でも意識

 【ケープカナベラル(米フロリダ州)共同】植物状態の患者に特定の動作をするよう話しかけ、脳の活動領域を画像化する装置(fMRI)で調べたところ、意識があることを示す反応が見られたとの研究結果を、英国の脳科学者が8日付米科学誌サイエンスに発表した。

 この患者は、交通事故で植物状態となり5カ月が経過した23歳の女性。日中は目を開けるものの外部からの働き掛けに反応せず、国際基準で植物状態と診断された。

 この女性に「テニスをしているところを想像してください」と指示したところ、運動をつかさどる領域が活性化。また、「自宅のすべての部屋を訪れてください」と指示すると、空間の感覚や記憶をつかさどる領域が活性化し、健康な人と同じ反応を示した。複雑な動作についての反応が健康な人と一致するのは意識があることを示す証拠だとしている。

 研究をまとめた英医学研究審議会のエイドリアン・オーエン研究員は「植物状態にはいろいろな脳の損傷の仕方があり、この一例ですべての患者に意識があるとすることはできない」と話している。

毎日新聞 2006年9月13日 東京朝刊