日本人の科学論文、影薄い工学・環境分野

 日本人研究者の科学論文は、物理学や材料科学などの分野で世界をリードする例が多く見られるが、工学や環境などの分野では、やや影が薄い、という実態が4日発表された文部科学省・科学技術政策研究所の報告書で明らかになった。

 同研究所は、米国の調査会社の論文データベースを使い、1999〜2004年に発行されたもののうち、引用回数で上位にある約1万件の重要論文を分析した。その結果、日本の占有率は9%で、米国(61%)、ドイツ(13%)、英国(12%)に次ぎ4位だった。5位以下はフランス(7%)、中国(3%)だった。

 分野別では物理学や化学、材料科学、動物・植物学などで、日本の占有率が9%以上の領域が多く、特に特定の超電導材料を研究する領域では日本発が約6割を占めた。生体分子の機能解明や新材料開発といった学際的分野でも、占有率の高い領域が多くみられた。

 一方、工学、環境・生態学、宇宙科学などでは占有率が9%を下回る領域が目立った。また精神医学・心理学、社会科学、経済学は0%だった。
(2007年4月5日0時56分 読売新聞)