カナリアの歌の覚え方

Science 2005年5月13日号

 成熟したカナリアは,だれに教わるでもなく,カナリア本来の歌を歌うようだ。
 カナリアなど一部の鳥類の歌は,短い音の単位「音節」が集まって「フレーズ」を形成し,それらを並べて「歌」を形成している。しかし,この「歌」を修得するメカニズムは不明な点が多い。
 アメリカ,ロックフェラー大学のガードナー博士らは,ふ化直後のカナリアを,なかまから完全に隔離して飼育した。そうやって成長したカナリアの歌声を分析したところ,典型的なカナリアの歌を,だれに教わるでもなく自分自身でうみだしていたという。このことから,カナリアの歌の発達には内因的な要因がはたらくことがわかる。一方,本来の歌とは別の人工的な合成音を聞かせて育てると,幼い頃はその合成音を模倣したが,性成熟すると,内因的な要因によって歌の再プログラミングが行われ,カナリア本来の歌をさえずるようになったという。
 博士らは,歌の模倣と歌の内的な要因がはたらく過程は別個のものであり,それぞれことなる時期におきるらしい,とのべている。