警告信号の使い分け

Science 2005年6月24日号

 アメリカコガラは,警告音で捕食者の大きさをなかまに伝えるらしい。
 多くの生物は捕食者を感知すると警告信号を出す。しかし実際にどのような情報が警告音に含まれているかは,不明な点が多い。
 アメリカ,モンタナ大学のテンプルトン博士らは,「アメリカコガラ」という小型の鳥の発する警告音を調べた。この鳥は,繁殖期以外は,6〜8羽の群れで生活し,多種類の捕食者がいることで知られている。博士らがこの鳥に,さまざまな大きさの捕食者を見せたところ,捕食者の体の大きさによって波長がことなる警告音を出したという。また,警告音を聞いた別のアメリカコガラは,発信者のそばに近づいて自分も同じ警告音を出す威嚇行動をとるが,体の小さい捕食者に対したときほど反応がすばやいこともわかった。
 体の小さい捕食者は機動性が高く,危険性が高いと考えられる。すなわちアメリカコガラは,警告音によって捕食者の体の大きさと危険度を伝達し,受信者はそれを聞いて威嚇行動を決めている,と博士らは考えている。