言語の由来をさぐる方法

Science 2005年9月23日号

 発音や文法に注目することで,言語の歴史をさかのぼることができるようだ。
 現生人類が世界各地に拡散しはじめたとき,言語はどのように変化したのかをさぐる研究がある。ことなる言語にも同じ語源があり,つまり共通の「祖語」がもとにあると考えられてきた。しかし,こうした語彙に着目した手法は限界があり,歴史的にたどれてもせいぜい1万年程度であった。
 オランダ,マックス・プランク心理言語学研究所のダン博士らは,系統関係の解明されているオーストロネシアという語族をもとにして,これまで系統不明とされてきたニューギニア地域の諸言語「パプア諸語」について発音体系や文法構造に注目した分析を試みた。その結果,今から数万年前の更新世後期に人類が拡散したとき,パプア諸語は共通の祖語から分岐したと推定された。博士らによると,パプア諸語の間には系統的なつながりがあるという。
 博士らは,この発音や文法に注目する手法を応用することで,世界中の語族関係を追究することが可能になった,とのべている。