近縁認識の学び方

nature 2005年4月28日号

 鳥類は,さえずりを学習することで,自分の近縁者の区別も学ぶらしい。
 エナガという鳥は毎年つがいで繁殖する。しかし,そのほとんどの巣は略奪され,破壊される。その後,巣の修復が繁殖期に間に合わなければ,かわりにほかの巣の子育てを手伝う習性がある。その際,近縁者の育児を優先的に手伝うことで,間接的に自分の遺伝子を残しているという。
 この鳥は「コンタクトコール」とよばれるさえずりを雌雄ともに頻繁に用い,巣作りなどのコミュニケーションを行う。イギリス,シェフィールド大学のシャープ博士らは,この鳥に近縁者と非近縁者の人工的なコンタクトコールを聞かせて,その反応を調べた。その結果,この鳥はコンタクトコールを用いて近縁と非近縁の区別をしていることが確認できた。しかし血縁関係がなくても,同じ育ての親のもとで育ったエナガのひなのコンタクトコールは似ていたという。
 博士らは,鳥の鳴き声には遺伝子よりも,生後の学習が重要な役割を果たす,とのべている。