雑音を無視する

Nature Neuroscience July, 2006
雑音を無視する

無意味な音を聞かされ続けると、脳はその音を無視して他の聴覚刺激のほうを選ぶことがNature Neuroscience誌7月号に報告されている。これは驚くべき発見である。以前の研究では、ある音を聞かされると脳はその音に対する反応が高まることが示されていたからだ。
 性徴期のネコに一定の範囲内で周波数の変わる音を無作為に連続して聞かせ、ネコの聴覚皮質の周波数別の神経応答を調べた。約5か月間にわたって1日24 時間音を聞かされたネコは、聞かされた音刺激の範囲内にある周波数に対し、聴覚皮質の神経細胞応答が弱いことがわかった。対照的に他の周波数に対する応答は高まっていた。この結果は刺激に過度にさらされると、それに対する脳内の再現作用が損なわれることを示唆する。
 この例の聴覚刺激はネコにとってまったく無意味であり、おそらく無視されたのだろう。行動に関連する刺激を過剰に受けたときに何が起こるかは、まだ明らかでない。