フレーミング効果、選択の偏り、合理的意思決定、そして脳

Science(8/4号)に載っていた論文
Frames, Biases, and Rational Decision-Making in the Human Brain
Benedetto De Martino, Dharshan Kumaran, Ben Seymour, Raymond J. Dolan

人間の選択行動は、選択肢の提示様式に大きく左右されます。この「フレーミング効果」は、人間の合理的判断の大きな妨げになりますが、その背景にある神経生物学的メカニズムは未だ明らかでなかったそうです。この論文では、フレーミング効果が扁桃体の活動と関連していることを見出しています。この発見は、意思決定のバイアスには、感情系が重要な役割を果たしていることを示唆しています。また、眼窩側および内側の前頭前野の活動が大きい被験者ほど、フレーミング効果が弱まることがわかりました。これらの知見は、人間の選択行動のモデルに感情プロセスを組み込むことの重要性を強く示唆しており、さらに脳(前頭前野)がこのようなバイアスの影響をなんとか調節して、合理的な意思決定へと近づいていく様子の一端を明らかにしたといえるでしょう。